あるとき、お釈迦さまは深い瞑想に入られておられました。
「あの時もわたしはこのように瞑想していた。
そして意識がうしなわれてゆくそのさなかに、
明けの明星のわたしへの呼びかけを感得して、
すべてがひとつであること、
『わたし』とは迷妄であったことを悟り、
生まれ生まれ生まれ生まれて生のはじめに暗く、
死に死に死に死して死のおわりに昏い輪廻の迷いから、
解脱することができたのだった。
『わたし』が妄見であるなら、
解脱というあの出来事は、
『わたし』が達成した出来事ではなかったのだ。
わたしの上に解脱という出来事を生起せしめた当のもの、
それは何であったのか・・・」
突如、お釈迦さまのお顔は、非常な喜びに輝かれました。
ついに宿縁が熟して、宇宙の一角が破れ、
お釈迦さまの中に、阿弥陀如来のおこころが識心攬入なさったのです。
釈尊はますます深い禅定に入られて、
阿弥陀如来さまと感応道交なさいました。
そして阿弥陀さまのおこころを、
あますところなく感得なさったのです。
こうして釈迦牟尼仏陀は、
御自身のお悟りを生起させたものが何であったかを、
深くいただかれました。
それは、阿弥陀如来さまが起こされた
第十七番目の誓願の業力だったのです。
阿弥陀さまのおこころを人間たちに知らせるためには、
お釈迦さまのお悟りが、
どうしても必要だったのでした。
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2002.11.15