釈尊はしばし瞑目され、やがて、
「汝らがこの法を聞くことができるのは、
それぞれの宿縁のおかげである。
そして宿世に諸仏と遇ったものだけが、
如来の本願力を聞いて
踊躍大歓喜できるのである。
驕慢、邪見、懈怠のものには、
本願力に心身をゆだねることは難しい。
如来のこころは如来のみよく知るところ、
如来のこころをそのままいただかねば、
その御こころは知り得ない。
声聞や菩薩が自らの力をどれほどきわめても
それを知ることは不可能である。
人身は受け難く、仏法には遇い難い。
如来のこころ、仏智をいただくことは更に難しい。
ゆえに、汝ら、精進して求めよ。
法を聞きて忘れず、
見て敬い、得て大いに慶ぶなら、
その人こそわたしの親友である。
ゆえに、汝ら、求道のこころを起こせ。
たとえ三千世界に猛火が満ち溢れようとも、
火の海を踏み破って聞こうと求めるならば、
かならず仏陀と成り、
生死の苦海を汲み尽すことができるであろう」
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2002.11.16