『仏陀が説かれた大無量寿経』のはなし

その22

ここで釈尊は力強く仰いました。

「もし阿弥陀如来の名号を聞くことができ、

躍り上がって喜ぶことがあれば、

そのひとはその一念において、

大利益を得たのである。

そのひとの身には

無上の功徳が満ち満ちるのである。

よって弥勒よ、

たとえ三千世界に猛火が満ち溢れようとも、

この火の海を踏み破ってでも、

阿弥陀如来の名号を聞き開かねばならぬ。

わたしは今、すべての衆生のために、

阿弥陀如来の浄土について語った。

さて、今日の説法も終わりに近づいたようである。

不審な点がある者は何でも尋ねるとよい。

わたしの死後になって、

この阿弥陀如来の仏法を疑うことがあってはならない。

わたしが死して後には、

わたしが示したさとりへの道の多くは滅尽するであろうが、

阿弥陀如来のこの仏法だけは、

特にいつまでも留めておきたいものである。

のちに生まれてくる衆生らで、

今日の説法の記録に出会った者は、

みな、阿弥陀如来の浄土に生まれるがよい。

そもそも仏法に遇うということからして

非常に難しいことなのだ。

好い指導者とめぐり合って

教えられた通りに行うことも難しい。

まして、阿弥陀如来の名号を聞き開いて、

はからう心が滅ぼされてしまうこと、

これは難の中の難であり、

これ以上に難しいことはないとさえ言える。

よって、わたしは阿弥陀如来の仏法を

今ねんごろに説き明かしたのである。

わたしの教えを信じ、如実に修行せよ」

かく語り終えられるとともに、

天地は六種に震動し、

うるわしい法音が鳴り響き、

無数の華々があたり一面に降り注ぎました。

この日の釈尊のご説法は、

十方世界にも響き渡ったのであります。

十方世界の無量の衆生が

この説法を聴いて、求道心を起こし、

無数の人々が仏陀の智慧をいただき、

煩悩を滅してさとりを開いた菩薩がたも、

また数知れぬほどおいでであった、と聞きました。

『仏陀が説かれた大無量寿経』のはなし、おわり。

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2002.11.16