『仏陀が説かれた大無量寿経』のはなし

その11

 

かくて、しばし沈黙ののち、

釈尊はふたたび浄土の荘厳を物語られました。

 

「無量寿仏の国の人々が用いる衣服や華香、

瓔珞や宮殿楼閣などは、

すべて念力の所作なのである。

 

かの仏土は無量の宝網で覆われており、

それらが光り輝くさまは言語を絶する。

そこを吹き通る風までもが徳を具えている。

この風が宝樹を通ると、

無量微妙の法音が広流する。

 

また風が吹いて華を散らし、

この仏土をあますところなく覆い尽くす。

それらの華は柔らかい光沢、

かぐわしい香りを放つ。

 

またさまざまな宝からできた蓮の華が、

この仏土のいたるところに咲いている。

それぞれの華には百千億の花びらがあり、

その華から放たれる光には無数の色がある。

 

その一々の華の中から三十六百千億の光が放たれ、

その一々の光の中から三十六百千億の仏が現れる。

これら諸仏のお身体は金色に輝き、

そのお姿は譬えようのないほどに尊い。

 

これら諸仏は、またそれぞれが百千の光明を放ちつつ、

浄土から一歩も動くことなくして遍く十方世界へと到り、

ひろく衆生に微妙の法を説きのべられ、

一切衆生を仏の正道に安立せしめんとされるのである。」

 

釈迦牟尼仏はかく語り終えられ、

ふたたび深い瞑想に入っていかれたのであります。

-上巻 終わり-

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2002.11.15