わたしは誓う。
仏陀となってこの願いを成就し、
生死を怖れるすべてのものに
大安心を与えよう。
わたしの光明は、
すべての仏国土に降り注ぐであろう。
わたしの建立する浄土は、
涅槃界そのもののようになるであろう。
願わくば世尊よ、
このわが志願を認可したまえ。
また十方世界の仏陀たちよ、
このわが志願と行業とを常に心にとめたまえ。
たとえこの身をありとあらゆる毒の中に沈めようとも、
わたしは精進して、
堪え忍びて、悔いるところはない』
法蔵菩薩はかく叙しおえられて、
世自在王仏に申し上げた。
『どうかわたしのために、
諸仏の浄土の成り立ちと、
そのための修行をお教えください』
法蔵菩薩の発願の
かぎりなき深さに打たれた世自在王仏は、
この菩薩のために、
二百一十億の諸仏の浄土と、
その業因を、まのあたりに観ぜしめられた。
菩薩は、それらを覩見して、
ここに、世にも希有なる大弘誓を発されたのである。
そのとき法蔵菩薩の心は寂静そのものであり、
いっさいのとらわれから解放されていた。
ただちに深い禅定に入られ、
一切衆生の生死流転の因縁を見極めて、
その業繋を断ずる行業について、
思惟しつづけられたのである。
法蔵菩薩は五劫ものあいだ、
座を立つことができなかった。
生々流転の業因はあまりにも重く、
一切衆生の業繋を断つための行を選び取るには、
菩薩の神通力をもってしても、
困難を極めたからである。
かくて五劫思惟を終えられた法蔵菩薩は、
ふたたび世自在王仏のみもとに来たり、
四十八の誓願を表白せられた。
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2002.11.15