かく弥勒菩薩が申し上げられるや否や、
釈尊は何か不思議な出来事の生起を予見されたのか、
突如、阿難にお告げになりました。
「阿難よ、立って衣服を整え、
五体投地して阿弥陀如来を礼拝せよ」
阿難が仰せの通りに阿弥陀如来を礼拝しますと、
天の一角が破れて、
阿弥陀如来が大光明を放ちつつ顕現なさったのです。
釈尊をはじめ、
その場に居合わせた全ての聴衆の姿が、
一瞬にして光の洪水の中に呑み込まれてしまいました。
そのさまは、あたかも突然の大洪水が
世界の山々を全て呑み込んでしまったかのようでした。
あたり一面が黄金の光の洪水に包まれるとともに、
これまで誰も聞いたことのないような
不思議な梵音が天地に轟き渡りました。
全ての聴衆が呆然として光の天を仰ぎますと、
はるか向こうに、極楽浄土の広大無辺の荘厳の威容が、
その浄土の聖聚らとともに、
赫々として、顕し示されたのであります。
この不思議なヴィジョンがふっと消えてしまうと、
釈尊はお告げになりました。
「汝ら、阿弥陀如来の浄土の荘厳をしかと観たか」
「はい、確かに観させていただきました」
「汝ら、阿弥陀如来の法音をしかと聞いたか」
「はい、確かに聞かせていただきました」
「汝ら、阿弥陀如来の浄土の聖聚をしかと観たか」
「はい、確かに観させていただきました」
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2002.11.16