「浄土に往生して菩薩となったものたちは皆、
直ちに涅槃に入ることができるのであるが、
一切衆生を救い取る誓願を立てた場合には、
穢土に還って衆生済度の行業をなすこともできる。
これら浄土の菩薩たちは常に正法を宣布する。
いかなるものごとにも執着の心が起きない。
行くも帰るも進むも留まるも自由自在である。
自己と他とを隔てることなく、
他と争おうとする心も起きない。
常にやわらかな心で他に利益を与え、
怒りや恨みとは全く無縁であり、
乱れることなき深いこころで、
すべてのものを平等にいつくしむ。
煩悩はことごとく止滅しており、
迷いの心を離れているのである。
いつでも直ちに深い瞑想に入ることができ、
六つの神通力を行使することができる。
そのまなこは、
色かたちあるものを細かく見分け、
三世十方にまで通達し、
あらゆる存在者をその本性において観察し、
真偽を見通して一切を彼岸に度す
如来のまなこそのものである。
真如より来生して存在者のありのままをさとり、
よく方便をもちいて衆生に会得せしめ、
一切の戯論を離れて仏法に安住している。
存在者の本性はすべて空であると覚了し、
甚深の法に隨順して修行するばかりである。
迷いの因たる煩悩を滅しているから、
迷いの果たる肉身もない。
煩悩の林に入っても、
自由自在に神通を現して遊戯するばかりである。
因力・縁力・意力・願力・方便力・慧力・多聞力を具え、
施・戒・忍辱・精進・禅定・智慧・正念・正観に通達し、
もろもろの三昧門を修して、無量の功徳を成就するのである」
下巻 １２ １３ １４ １５ １６ １７ １８ １９ ２０ ２１ ２２
2002.11.16